介護の「見えない労働」に、名前をつける

介護の疲れの正体は、おむつ交換や通院の付き添いだけではありません。誰にも見えず、数えられてもいない仕事の話。

「介護って、何がいちばん大変ですか?」と聞かれたら、何と答えるでしょうか。

身体を支えること。夜中に起きること。それも、もちろん大変です。でも、介護を続けている人の疲れの正体は、案外そこではない気がしています。

手を動かしていない時間も、働いている

たとえば、こんな仕事です。

  • 覚えておく仕事——薬は飲んだか。次の通院はいつか。デイサービスの持ち物は。介護保険の更新は。
  • 段取りする仕事——ヘルパーさんの時間に合わせて予定を組み、通院と仕事の調整をし、書類の締切を管理する。
  • 気にかけ続ける仕事——別室にいても、外出していても、頭のどこかで常に様子を気にしている。

どれも、手は動いていません。傍から見れば「何もしていない」時間です。でも頭の中では、業務が一日中走り続けている。介護の疲れの少なくない部分は、この「見えない労働」から来ていると私は思っています。

やっかいなのは、見えない仕事は本人にも見えないことです。「今日は大したことをしていないのに、なぜこんなに疲れているんだろう」——その「大したことしていない」の中身が、実はフルタイムの管理業務だったりします。

名前をつけると、少し軽くなる

この見えない労働には、対処法が二つあると思っています。

ひとつは、名前をつけて、数えること。「今日は通院の段取りをした」「書類を出した」——それを「できたこと」として記録すると、見えなかった仕事が見えるようになります。CareQuest に「手続き・調整をした」というクエストがあるのは、このためです。段取りも、立派な介護です。

もうひとつは、覚えておく仕事を、道具に渡すこと。人の記憶は疲れと一緒に薄れますが、道具は疲れません。薬の時間のリマインドと記録については、別の記事に書きました。

「何もしてない」なんてことは、ない

今日、もしあなたが「何もできなかった」と感じているなら、思い出してみてください。覚えていたこと。段取りしたこと。気にかけていたこと。

それは全部、仕事でした。数えられていなかっただけです。

今日も、読んでくださってありがとうございます。