「薬、飲んだっけ?」を、家族の記憶の仕事にしない

服薬の管理は、気づかないうちに家族の頭の中を占領します。思い出す仕事を道具に渡すという考え方と、そのために作っているものの話。

「あれ、朝の薬、飲んだっけ?」

介護をしている家庭なら、この会話に覚えがあると思います。本人も家族も思い出せない。飲んでいなければ問題だし、二重に飲んでも問題。結局、薬のシートを数えて確かめる——。

服薬の管理がやっかいなのは、作業そのものより、「覚えておく」という見えない仕事が一日中頭の片隅を占領することです。朝・昼・夜・寝る前。時間どおりに思い出し、飲んだかどうかを記憶しておく。カレンダーにも給料明細にも載らないけれど、これは立派な労働です。

思い出す仕事は、道具に渡す

私は、この「覚えておく仕事」は人間がやらなくていい種類の仕事だと思っています。人の記憶は疲れと一緒に薄れますが、道具は疲れないからです。

いま「おくすりの約束」という道具を作っています。Alexa が薬の時間に声をかけてくれて、飲めたら「飲んだよ」のひとことで、飲めた時間が記録される。スマホからも記録できる。それだけの、シンプルなものです。

「それだけ」に意味があります。飲めた時間が残っていれば、「飲んだっけ?」の不安が消えます。通院のときに「だいたい飲めています」ではなく、記録を見せられます。そして記録が積み重なれば、ゆくゆくは飲み忘れやすい時間帯や生活のパターンに気づく手がかりにもなる——そこまで育てていくつもりです。

「渡せた」ことも、数えていい

ところで、薬を管理しているのが介護する側なら、時間どおりに薬を渡せたこと自体が、今日の立派な仕事です。

CareQuest(無料・登録不要の記録アプリ)のクエストの最初にあるのは「薬を渡した」です。当たり前すぎて誰にも褒められないことこそ、ちゃんと数える。夜になって「今日も何もできなかった」と思ったとき、「薬は、朝も昼も渡せた」という記録は、小さくない味方になってくれます。

薬の時間は道具に思い出させて、あなたは「渡せた」を数える。頭の中を、少しだけ軽くしていきましょう。

今日も、読んでくださってありがとうございます。