ショートステイが使えない月の、もうひとつの休み方 — レスパイト入院と介護ホテル

今月はもう単位がない。医療的ケアがあって受け入れてもらえない。そんなときでも休む方法はゼロになりません。レスパイト入院は医療保険、介護ホテルは全額自費——介護保険の単位を使わない2つの選択肢と、どこに相談すればいいかを整理しました。

「今月はもう、単位が残っていません」

ケアマネジャーからそう言われて、あてにしていた数日が消えた経験はないでしょうか。あるいは、ショートステイを探して「その医療的ケアがあると、うちでは難しくて」と断られた経験。

どちらの場合も、返ってくる答えは同じに見えます。「休めない」。

でも、そこで終わりではありません。

「休めない」には、理由が2種類あります

ひとつは 枠が足りない。介護保険には単位(区分支給限度基準額)という1か月の上限があり、ショートステイは1日あたりの単位が大きいので、上限に当たりやすい。

もうひとつは 受け入れてもらえない。たん吸引や経管栄養といった医療的なケアが必要な場合、一般のショートステイでは体制の問題で難しいことがあります。(これは高齢の方に限った話ではありません。難病や障害で、若い世代やお子さんが在宅療養していることもあります。)

理由が違えば、打つ手も変わります。

まず、介護保険のなかにも医療系の選択肢があります

医療的ケアが理由で断られたときは、「短期入所療養介護」——いわゆる医療型ショートステイという枠があります。老人保健施設や療養型の病床が受け皿になるもので、看護職員の配置が手厚い分、一般のショートステイでは難しいケアにも対応できることがあります。

ただしこれは介護保険のサービスなので、単位は使います。「今月は単位がない」という理由で困っている場合には、この道では解けません。

財布が違う、という考え方

ここからが本題です。介護保険の単位を使わない休み方が、2つあります。

どの財布から出るか介護保険の単位
ショートステイ(一般・医療型)介護保険使う
レスパイト入院医療保険使わない
介護ホテル全額自費使わない

財布が別なので、「今月はもう単位がない」という状況と関係なく検討できます。 これが、知っておく価値のいちばん大きな理由です。

レスパイト入院

在宅で療養している方が、介護している家族の休養などのために短期間入院するという考え方です。医療機関で行われるため、医療保険の枠で扱われます。

医療者がいる場所で過ごすことになるので、医療的ケアが理由でショートステイを断られた場合の受け皿になりうる、という点も大きいところです。

ただし、入院できるかどうかを決めるのは病院と主治医です。 すべての医療機関が受け入れているわけではなく、本人の状態、病床の空き、地域の事情によって変わります。「使えます」と言い切れる制度ではありません。

相談先は2つ。 主治医とケアマネジャー、そして病院の相談窓口です。多くの病院には地域連携室や医療相談室と呼ばれる部署があり、医療ソーシャルワーカーが在宅療養の相談を受けています。「家族が少し休みたい」という相談を、そこに持ち込んでかまいません。

介護ホテル

介護のスタッフがいて、その支援を受けながら宿泊できる民間の施設です。介護保険の給付は使わず、全額自己負担になります。

制度のサービスではなく宿泊業に近いので、受けられる支援の中身も、料金も、施設によって大きく違います。「介護ホテル」という呼び方自体が施設ごとにまちまちで、ケア付き宿泊、介護付き旅行といった名前で提供されていることもあります。

自費なので気軽ではありませんが、本人にとっては「入院」ではなく「お出かけ」になるという違いは小さくありません。休むための場所が、本人にとっても悪くない時間になるなら、そのほうがいい。

相談は、こう出すと早いです

どちらも、まずケアマネジャーに話すところからです。言い方は難しく考えなくて大丈夫です。

「今月は単位が残っていないのですが、それでも数日休みたいんです。保険の外でもいいので、方法はありますか」

「保険の外でもいい」と先に言ってしまうのが、いちばん早い出し方だと思います。ケアマネジャーは上限の中で組むのが仕事なので、こちらが枠を外していいと伝えないと、その提案は出てきにくいからです。

医療的ケアが理由で困っているなら、主治医と、病院の相談室にも同じことを伝えてください。

泊まりの日の持ち物は、同じです

行き先がショートステイでも、入院でも、介護ホテルでも、持たせるものはほとんど変わりません。保険証、医療証、お薬手帳、着替え、日用品、そして「いつも使っている物」。

数日家を離れる日の持ち物は別の記事に整理しました。行き先ごとに確認したいときは CareReady が使えます。家族向けの持ち物チェックは公開中で、いま開いてそのまま使えます。

そして、預ける先に渡す「いつもの様子」は、日々の記録があるとそのまま伝えられます。CareQuest は、そういう記録を登録なしで残しておくための無料のWebアプリです。

休みは、単位の残りで決まりません

今月の単位が尽きていても、医療的ケアで断られていても、休む方法が完全にゼロになることは、そう多くありません。財布を変えれば道が残っていることがあります。

レスパイトケアは、余裕のある人のための贅沢ではありません。続けるための仕組みです。

ご注意: レスパイト入院の受け入れ可否と適応の判断は、医療機関と主治医によります。介護ホテルの内容・料金・呼び方は施設によって大きく異なり、地域によっては選択肢がないこともあります。短期入所療養介護の利用可否も含め、具体的な相談は担当のケアマネジャー、主治医、病院の相談室(地域連携室・医療相談室)、地域包括支援センターへお願いします。

本アプリは医療機器ではなく、診断や治療の判断を行うものではありません。

今日も、読んでくださってありがとうございます。