介護アプリだけでは、事業所との連携の代わりにはならない

アプリができるのは、家族の頭の中にある準備や確認を整理すること。本人・家族・事業所の関係を良くするのは、やはり人どうしの対話です。

介護の準備をしていると、「これ、事業所に聞いたほうがいいかな」と思うことがあります。

薬の渡し方。持ち物の枚数。入浴の日の着替え。送迎の時間。前回と少し違う本人の様子。

家族だけで決めていいことなのか、どこまで相談すればよいのか。考えることが増えるほど、「アプリで全部まとめてくれたらいいのに」と思うかもしれません。

でも、介護アプリだけで、事業所との連携そのものを代わりにすることはできません。

アプリができることは、「話す前」を整えること

アプリにできるのは、家族の頭の中や、ばらばらの紙に散らばっていることを、見返せる形にすることです。

たとえば、次のようなことです。

  • 施設から指定された持ち物を、次回も見つけられるようにする
  • 「今回は不要」と確認したことを残しておく
  • 入れた物と、帰宅時に戻った物を同じリストで確認する
  • 家族の中で、誰がどこまで準備したかをたどれるようにする

これがあると、事業所へ相談するときに「前回はどうでしたっけ」と記憶だけをたどらずにすみます。

ただ、リストは会話の代わりではありません。本人の状態が変わったとき、施設のルールを確認したいとき、家族が困っているときは、やはり担当の方に相談することが大切です。

「お願い」と「確認」を、分けて伝える

事業所とのやりとりで、全部を一度に伝えようとすると、お互いに何が大事なのか分かりにくくなることがあります。

相談するときは、次の三つに分けてみると整理しやすくなります。

確認したいこと

「タオルは何枚必要ですか」「薬はどの形で預けますか」のように、施設ごとの決まりを知りたいことです。

お願いしたいこと

「補聴器のケースも一緒に確認してほしい」「帰宅時に充電器が戻っているか見たい」のように、家族だけでは難しい部分です。

共有しておきたいこと

「今日は少し疲れやすそうだった」「この靴は本人が履きやすい」のように、日々の暮らしの中で家族が気づいたことです。

どれも、相手に正解を求めるための言葉ではありません。本人がその日を過ごしやすくなるように、同じことを見ておくための材料です。

事業所の案内は、家族のための「答え合わせ」

インターネットで一般的な持ち物リストを調べることはできます。でも、実際に優先したいのは、その日の利用先から渡された案内です。

施設によって、用意する物も、薬の扱いも、名前の書き方も違います。一般的な情報は準備の出発点にはなっても、今回の答えそのものにはなりません。

だからこそ、施設の案内を「一度読んで終わりの紙」にしないで、次回の準備でも見返せる形にしておく意味があります(施設からもらった案内を次まで残すにも書きました)。

CareReady は、連携を置き換えないために公開しています

公開している CareReady は、デイサービス、ショートステイ、受診や入院など、家の外で介護が動く日の持ち物を整理するためのリストです。

目指しているのは、施設の方に新しい負担を渡すことではありません。家族が「何を聞くべきか」「何を準備したか」を、記憶だけに任せずにすむことです。

施設ごとの指定をリストに重ねる形も試していますが、現在は身近な家族や施設と一緒に、実際の運用に合うかを確かめている段階です。家族向けの画面はすでに公開していますが、施設と連携した本格運用はこれからなので、急いで広げるのではなく、事業所の方の言葉も聞きながら整えていきます。

介護は、本人、家族、事業所の誰か一人が頑張り続けることで成り立つものではありません。

アプリは、会話の前に散らかったことを少し整える道具。大事なことを決めたり、本人の暮らしを支えたりするのは、その先にいる人どうしです。

ご注意: CareReadyは持ち物・生活準備を支える生活支援ツールです。医療機器ではなく、医療や介護サービスの判断・指示に代わるものではありません。利用先の案内や、医療・介護の専門職からの説明を優先してください。

今日も、読んでくださってありがとうございます。