連休に足りなくなる前に — ショートステイの単位と、自費を前提にした頼み方

在宅介護の単位(区分支給限度基準額)はいつも効いている制約です。連休のように必要が重なると上限に当たります。特養と老健でショートステイの単位が違う理由、予約の時期、そして自費を前提にした依頼を家族からどう出すかを整理します。

年末年始、お盆、大型連休。

在宅で介護をしていると、この時期は普段と段取りが変わります。デイサービスが休みに入る日がある。訪問介護の事業所も人が薄くなる。

その分を別のサービスで埋めると、普段は当たらない上限に当たります。 連休は日数も長い。しかも施設は混みます。

この記事では、単位の仕組みと予約の時期、そして自費を前提にした相談の出し方をまとめます。

在宅介護は「単位」で組まれている

ケアプランに並んでいるサービスには、それぞれ単位という値がついています。介護保険の点数のようなものです。

そして要介護度ごとに、1か月に使える単位の上限が決まっています。これを区分支給限度基準額といいます。

区分1か月の上限(単位)
要支援15,032
要支援210,531
要介護116,765
要介護219,705
要介護327,048
要介護430,938
要介護536,217

ご注意: 上の数値は2019年10月の改定以降のものです。制度は改定されます。実際に使える単位数は、ケアプランの控えかケアマネジャー、お住まいの市区町村でご確認ください。

単位はそのまま円ではありません。 1単位あたりの単価は10円が基本ですが、地域とサービスの種類によって10円から11円台まで変わります(地域区分)。人件費の水準が地域で違うためです。

つまり「上限の単位数」と「実際の金額」は、住んでいる場所で変わります。同じ要介護3でも、東京23区と地方では使える金額が違う、ということです。

ショートステイは、1日あたりの単位が大きい

ここが連休の話につながります。

在宅で使うサービスの中で、ショートステイは1日あたりの単位が大きいほうです。 宿泊と食事と介護が一体になっているので当然ではあるのですが、日数を足すと上限に届きやすい。

一方でデイサービスや訪問介護は、1回あたりの単位はもっと小さい。だから週に何回か使っても、ショートステイ数日分ほどにはなりません。

このバランスがあるので、同じ月にショートステイを増やすと、他のサービスを削らないと収まらないという事態が起きます。

特養のショートと老健のショートでは、1日あたりの単位が違う

もうひとつ、日数を組むときに効いてくる違いがあります。

ショートステイと呼ばれるサービスは、大きく2つに分かれます。特別養護老人ホームなどで行われる短期入所生活介護と、介護老人保健施設(老健)などで行われる短期入所療養介護です(特養と老健のショートステイ、持ち物は同じでいいのか)。

この2つは、1日あたりの単位が違います。要介護3・多床室で並べると、こうなります。

サービス種別要介護3要介護5
短期入所生活介護(特養等に併設)併設型745884
短期入所生活介護(ショート単独の事業所)単独型787926
短期入所療養介護(老健)基本型9441,052
短期入所療養介護(老健)在宅強化型1,0441,161

短期入所療養介護では、日常生活上の世話に加えて、看護、医学的管理の下での介護、機能訓練が提供されます。その体制のぶん、1日あたりの単位が高く設定されています。

老健の中でも、在宅復帰に向けた体制が手厚い在宅強化型は、基本型よりさらに高くなります。

要介護3で比べると、特養併設の745に対して老健の基本型は944。1日あたり約200単位の差です。10日使えば約2,000単位の差になり、要介護3の上限27,048単位に対して7%以上を余分に使う計算になります。

つまり、同じ日数でも、行き先によって単位の減り方が違うということです。リハビリや医学的な管理が必要で老健を選ぶなら、そのぶん上限に早く当たると見ておくほうが、あとで慌てずに済みます。

ご注意: 上の単位数は令和6年度(2024年度)改定後の基本部分で、多床室・従来型個室の場合です。ユニット型や加算・減算で変わり、制度も改定されます。実際の単位数はケアマネジャーにご確認ください。

連休は、単位の食い合い方が変わる

「連休はデイが休むから、その分の単位が浮くはず」

そう考えたくなりますが、実際はそう単純ではありません。

デイが休む日は、家で過ごす時間が増えます。すると訪問介護を足すか、ショートステイに預けるか、家族が見るか、のどれかになります。前の2つを選べば、浮いた単位はそのまま埋まります。しかもショートステイのほうが1日あたりの単位は大きいので、デイ3日分が浮いてもショートステイ3日分にはなりません。

さらに連休は日数が長い。9日の連休なら、埋めるのは9日分です。

だから連休は、普段の月より上限に当たりやすいのです。

上限を超えたら、その分は10割

上限を超えた分は、介護保険の給付対象外になります。負担は1〜3割ではなく全額です。

これが「自費になる」の中身のひとつです。

自費になる入口は、大きく3つあります。

上限を超えた分。 いま説明したものです。超えた単位に対応する金額を全額払います。

連続して利用できる日数を超えた分。 ショートステイには連続利用の上限があり、連続30日を超えた日は給付の対象外になります。ここは「1日だけ自費」という独特の組み方があるので、あとの節でまとめて説明します。

もともと給付の対象外の費用。 食費、滞在費(部屋代)、日用品などの日常生活費は、最初から保険の外です。これは「自費になった」のではなく、常に自己負担です。ただし所得と資産の状況によっては、食費と滞在費を軽くする負担限度額認定という仕組みがあります。申請済みかどうかは確認しておく価値があります。

ケアマネジャーは、上限の中で組む

ケアマネジャーの仕事は、限度額の中でケアプランを組むことです。上限を超える案を最初から出してくることは、基本的にありません。家計に踏み込む提案になるからです。

つまり、待っていても「自費になりますがどうしますか」という相談は来ません。

自費を含めた組み方は、家族から言う必要があります。

これは押しの強さの話ではなく、単に情報の非対称の話です。その家がいくらまで出せるかは、その家しか知りません。

言い方は、こう出すと早い

漠然と「連休どうしましょう」と相談すると、上限の中での調整案が返ってきます。それはケアマネジャーとして正しい仕事です。

自費込みで考えたいなら、最初にそう言います。

たとえばこうです。

「年末年始の9日間を埋めたいと思っています。上限を超えて自費になる分があっても構いません。 超える場合はいくらになるか出していただいたうえで、こちらで判断します。ショートステイを4日、そのうち何日が自費になるか教えてもらえますか」

ここで大事なのは3つです。

  • 期間を具体的に言う(「連休」ではなく「12/29から1/6」)
  • 自費を許容すると明示する(言わなければ選択肢に入りません)
  • 金額を出してもらってから決めると伝える(白紙委任にしない)

こう出すと、ケアマネジャーは上限の外まで含めた選択肢を組めます。予約枠の確保も早く動けます。

連休のショートステイは、早く押さえた人から埋まる

単位の計算がどれだけ正しくても、空きがなければ使えません。

連休は、同じことを考える家庭が一斉に動きます。デイサービスが休みに入り、訪問介護の事業所も人が薄くなる。その結果、ショートステイに希望が集中します。

しかも施設側の事情もあります。連休は職員も交代で休みを取るため、受け入れられる人数を普段より絞る施設もあります。 希望が増えて枠が減る。埋まるのが早くなるのは当然です。

だから、順番が逆になります。

「単位を計算してから予約する」のではなく、「押さえてから、単位と自費を詰める」。

枠さえ確保できていれば、日数を減らす調整は後からできます。逆に、計算が終わってから電話しても、空いていなければ何も始まりません。

目安として、年末年始やお盆は2〜3か月前には希望を出しておくと動きやすくなります。事業所によっては受付の開始時期が決まっていることもあるので、次の連休の話は前の連休が終わったころに聞いておくと確実です。

第一希望の施設が取れないことも普通にあります。複数の事業所を候補に出しておくと、片方が埋まってももう片方で組めます。行き先が変われば単位も変わるので(前述の特養と老健の差)、そこは押さえたあとで計算し直せば済みます。

自費という言葉の意味

自費は「使えない」という意味ではありません。単価が変わるという意味です。

1〜3割で使えていたものが、その日から10割になる。それだけのことです。金額を見て、出せるなら使えばいいし、出せないなら別の組み方を探す。判断材料は金額であって、それ以上でも以下でもありません。

だから順番はこうなります。

  1. 期間を決める
  2. 上限のどこまでで収まるかを出してもらう
  3. 超える分の金額を出してもらう
  4. 負担限度額認定など、軽くできる仕組みが使えるか確認する
  5. 数字を見て決める

4番まで来ないうちに「自費だからやめておく」と決める必要はありません。 数字が出てから決めれば十分です。

「ロングショートステイ」という呼び方

連休が明けても、しばらく在宅に戻せない事情が続くことがあります。入所の順番待ち、介護している人の入院や手術、住まいの改修。

そういうときにショートステイを長く続けて使う形を、現場ではロングショートステイ(ショートロング)と呼びます。

ただし、これは制度の名前ではありません。 介護保険にその区分はなく、ショートステイを続けている状態をそう呼んでいるだけです。

制度名がないということは、扱いが事業所と自治体で違うということです。長期に受けてくれるところもあれば、他の予約が入るため難しいところもあります。要介護認定の有効期間のおおむね半数を超えないという利用日数の目安も、そのままかかってきます。

そして、実際にどう組まれているかを知っておくと、話が早くなります。

「1日だけ自費」で数え直す組み方

ショートステイの30日という上限は、連続した日数で数えます。累計ではありません。

だから1日でも自宅に戻れば、そこでリセットされて、また1日目から数え直しになります。

ただ、自宅に戻れないからこそ続けて預けているわけです。退院直後で受け入れの準備が整っていない。介護している人が入院している。そういうときに1日だけ帰るのは、現実的ではないことがあります。

そこで現場で使われているのが、施設にいたまま1日だけ保険を使わない日を作るという組み方です。

扱い
1〜30日目介護保険(負担は1〜3割)
31日目自費(10割) ここで1日はさむ
32日目〜また1日目として介護保険

31日目は施設にいますが、その日は保険を使いません。滞在費も食費も介護のぶんも全額自己負担です。そのかわり、32日目からまた保険で数え直せます。

これが「1日だけ自費」と呼ばれる組み方です。ケアマネジャーや施設が「31日目が自費になります」と説明するのは、たいていこの話をしています。

2024年度改定で、条件がひとつ増えた

ここが新しいところです。

2024年度の介護報酬改定で、自宅に戻らないまま長く使い続ける場合の単価が下がるようになりました。 自費利用をはさんで同じ事業所を連続60日を超えて使っている場合、60日を超えた日からは、短期入所生活介護費が施設に入所した場合と同じ単位数になります。

大事なのは、30日のカウントと60日のカウントで、リセットの条件が違うということです。

リセットされる条件
30日のカウント自費を1日はさめば数え直せる
60日のカウント自費をはさんでも続く。 自宅に戻らない限りリセットされない

つまり「1日だけ自費」を繰り返しても、60日を超えたところで単価が変わります。この組み方を無期限に続ける形は、制度の側で想定されなくなったということです。

ご注意: この長期利用の扱いは、特別養護老人ホーム等で行われる短期入所生活介護について設定されているものです。老健等の短期入所療養介護には、同じ形の長期利用の減算は設定されていません。適用の判断はケアマネジャーと事業所にご確認ください。

だから、聞き方が変わる

長く続くと分かっている事情なら、ショートステイを延ばし続けるのがよいのか、入所や他の手段を並行して探すのかを、早い段階でケアマネジャーと相談しておくほうが選択肢が残ります。

聞き方も、「ロングショートはできますか」より、こちらのほうが具体的に進みます。

「この事情で、いつからいつまで、どういう組み方なら可能ですか。自費になる部分があっても構いません。 31日目の自費がいくらか、60日を超えるとどう変わるかも教えてください」

日数が変わっても、確認する項目は変わらない

連休のショートステイは、普段より長くなることが多い。着替えの枚数が増え、洗濯の回し方が変わり、薬の用意する量も変わります。

一方で、確認する項目そのものは3日でも10日でも同じです。着替え、洗面用品、薬、装具、名前の書き方、持込のルール。数が変わるだけです。

CareReady は、この「毎回同じことを確認する」部分を手元に残しておくための、家族向けの持ち物チェックリストです。登録は不要で、入力した内容はお使いの端末の中に保存されます。

前回の利用で分かったこと——施設が用意してくれた物、足りなかった物——を残しておけば、期間が変わっても土台から作り直さずに済みます。施設ごとの違いについては特養と老健のショートステイ、持ち物は同じでいいのかも参考にしてください。

公開中の CareReady について

まず枠を押さえる。行き先によって単位の減り方が違うことを頭に入れておく。そして「自費になる分があっても構わない」と早い時期に伝えておく。

この3つで、出てくる案の幅が変わります。

CareReady は介護の持ち物準備を支える生活支援ツールであり、医療機器ではありません。持ち物や薬の準備は、利用先の施設の案内と医師・薬剤師の指示を優先してください。単位数・費用・制度の判断は、ケアマネジャーとお住まいの市区町村にご確認ください。

今日も、読んでくださってありがとうございます。