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「床ずれ(褥瘡)」を防ぐ用具は借りられる — 要介護1でも例外がある
床ずれ防止用具や体位変換器は介護保険で借りられますが、要支援1・2と要介護1では原則対象外です。ただし例外の道があり、厚生労働省はその例として「パーキンソン病の治療薬によるON・OFF現象」を挙げています。頼み方と、家族が伝えるとよいことを整理しました。
床ずれ(褥瘡)は、できてしまうと治るのに時間がかかります。
だから予防の話になるのですが、家族が一人で頑張る話にはなりません。道具があり、専門職がいて、制度がついています。
まず、借りられるものがある
介護保険の福祉用具貸与には、床ずれのための種目が2つあります。
| 種目 | どういうものか |
|---|---|
| 床ずれ防止用具 | 送風装置や空気圧調整装置を備えた空気マット、または水・エア・ゲル・ウレタン等の全身用マット。体圧を分散して圧迫部位への圧力を減らすもの |
| 体位変換器 | 空気パッド等を身体の下に挿入し、てこや空気圧などで仰向けから横向き・座位への体位変換を容易にするもの |
買うものではなく、借りるものです。ケアマネジャーか福祉用具の事業者に「床ずれが心配なので相談したい」と伝えるのが入口になります。
ただし、要介護度で原則が変わる
ここが分かりにくいところです。
要支援1・2、要介護1の方(軽度者)には、これらは原則として保険給付の対象外とされています。
対象外になる種目は、床ずれ関係だけではありません。
- 車いす(付属品含む)
- 特殊寝台(付属品含む)
- 床ずれ防止用具
- 体位変換器
- 認知症老人徘徊感知機器
- 移動用リフト(つり具の部分を除く)
- 自動排泄処理装置
「介護ベッドも車いすも借りられない」と言われることがあるのは、この仕組みによるものです。
でも、例外の道がある
ここが本題です。
原則対象外でも、例外的に給付が可能とされています。医師の医学的な所見に基づいて判断され、サービス担当者会議等を通じたケアマネジメントで必要と判断され、市町村が書面等で確認して要否を判断した場合です。
厚生労働省が挙げている条件は3つです。
ⅰ)疾病その他の原因により、状態が変動しやすく、日によって又は時間帯によって、別表の対象者に該当(例 パーキンソン病の治療薬によるON・OFF現象)
ⅱ)疾病その他の原因により、状態が急速に悪化し、短期間のうちに別表の対象者に該当することが確実に見込まれる(例 がん末期の急速な状態悪化)
ⅲ)疾病その他の原因により、身体への重大な危険性又は症状の重篤化の回避等医学的判断から別表の対象者に該当すると判断できる(例 ぜんそく発作等による呼吸不全、心疾患による心不全、嚥下障害による誤嚥性肺炎の回避)
ⅰ)に、パーキンソン病が名指しで書かれています。
薬の効いている時間と切れている時間で状態が変わる場合、認定調査のときの姿だけでは実態を写しきれません。制度の側も、それを想定して例外を用意しています。
「軽度だから無理」で終わらせなくて構いません。 ケアマネジャーに「例外給付の対象にならないか、相談したい」と伝えれば、話が始まります。
それでも手に入らないときは、買う道もある
例外給付が通らないこともあります。判断を待っているあいだに、いま欲しいこともあります。
そのときは、保険を使わずに買う選択肢があります。
- 介護用品の専門ネットショップ(中古やアウトレットを扱う店があります)
- フリマアプリ(メルカリなど)
介護用品は、状況が変われば使われなくなります。 施設に入った、体の状態が変わった、退院した——そうやって手放されたものが出回っています。定価では手が出ないものが、そこにあることがあります。
買う前に見ておくこと
借りるのと同じものを買うわけではないので、いくつか見ておくと安全です。
- 中古品は介護保険の貸与にはなりません。 全額自費です
- 皮膚に触れるものなので、洗えるか、カバーを替えられるかを見る
- エアマットはポンプが要です。動作と、経過年数を確かめる
- ウレタンはへたります。 体圧分散の性能が落ちたものは、本末転倒になります
- 用具によっては、業として売るのに許可や届出が要る種類のものがあります。出どころの分かる相手から買うほうが安全です
そして一番大事なところ。
その人に合うかどうかは、使ってみないと分かりません。
借りる場合は、合わなければ替えられるのが利点です。買うとそれができません。先に福祉用具専門相談員や訪問看護師に見てもらうと、外しにくくなります。
うちで使っているもの
ジェル素材のクッション(ジェルトロン)を使っています。熱可塑性エラストマーのジェルでできていて、体圧が一点に集まりにくいのと、通気があるのが気に入っています。
ただし、これが誰にでも合うとは書けません。 体格も、座っている時間も、皮膚の状態も違います。うちでは合った、という以上のことは言えません。
試せる機会があるなら、試してから決めてください。 福祉用具の事業者が現物を持ってきてくれることがあります。
家族が伝えると、話が早くなること
判断するのは医師とケアマネジャーと市町村ですが、家に居る時間の情報は家族しか持っていません。
- 時間帯によって、どれくらい動きが違うか(何時ごろが動きにくいか)
- 同じ姿勢でいる時間がどれくらい続くか
- 皮膚の赤みに気づいた場所と日付(お尻・かかと・肩甲骨・背骨のあたり)
- 赤みが押しても消えなかったかどうか
- 食べる量が減っていないか
「なんとなく心配です」より、いつ・どこが・どうだったかがあるほうが、医学的な所見につながります。
判断そのものは家族がするものではありません。 材料を渡す役割です。
気づいたら、訪問看護師に
赤みや皮膚の変化に気づいたときの相談先は、訪問看護師です。
24時間対応の体制を取っている事業所なら、夜間の連絡先もあります。受診まで待つべきかどうかの判断も、そこで聞けます。
訪問看護を使っていない場合は、ケアマネジャーに「皮膚の状態が心配なので、訪問看護を検討したい」と伝えるところからになります。
この記事で扱っていないこと
床ずれの手当て、薬、ケアの具体的なやり方は書いていません。皮膚の状態によって適切なものが変わり、自己流でやると悪くなる側に動きます。 訪問看護師・主治医の領域です。
ここで整理したのは、その手当てにたどり着くまでの道——借りられるもの、原則と例外、伝えるとよいこと——の3つです。
CareQuest は、その日のことを短く残すための記録アプリです。皮膚の状態を判断するものではありませんが、「いつ・どこに・どんな様子だったか」を短く残しておけば、相談のときにそのまま持っていけます。無料・登録なしで開けます。
ご注意: 福祉用具貸与の対象・例外給付の可否は、要介護度やお住まいの市区町村の判断によって異なります。皮膚の状態については、訪問看護師・主治医にご相談ください。この記事は医療的な助言ではありません。
参考: 厚生労働省 要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について/福祉用具貸与(参考資料)

今日も、読んでくださってありがとうございます。