介護費用の「医療費控除」— 特養は2分の1、老健は全額

介護保険サービスの自己負担のうち、医療費控除の対象になるものは決まっています。特養は2分の1、老健は全額。そして訪問介護やデイサービスは「医療系サービスと併せて使っているか」で扱いが変わります。国税庁の区分を整理しました。

介護の費用は医療費控除にならない、と思われがちですが、なるものがあります。

ただし「介護にかかったお金は全部」ではありません。どのサービスかで、はっきり分かれています。

いちばん意外なところ:併せて使っているかで変わる

先に、いちばん見落とされる部分から。

居宅サービスは3つに分かれます

① それだけで対象になるもの(医療系)

  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導
  • 通所リハビリテーション(デイケア)
  • 短期入所療養介護(老健などのショートステイ)

これらは、単独で使っていても対象です。

② 医療系と併せて使っている場合に対象になるもの

  • 訪問介護(生活援助中心型を除く)
  • 訪問入浴介護
  • 通所介護(デイサービス)
  • 短期入所生活介護(特養などのショートステイ)
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 認知症対応型通所介護

ここが分かれ目です。

同じデイサービスでも、訪問看護やデイケアを一緒に使っていれば対象になり、使っていなければ対象になりません。

サービスの中身が変わったわけではなく、組み合わせで扱いが変わるという仕組みです。

③ 対象にならないもの

  • 訪問介護のうち、生活援助中心型
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
  • 有料老人ホーム
  • 福祉用具貸与

福祉用具のレンタル代は対象外です。ここはよく間違われます。

施設に入っている場合:特養と老健で違う

同じ「施設」でも、割合が違います。

施設対象になる金額
特別養護老人ホーム(指定介護老人福祉施設)自己負担額の2分の1
介護老人保健施設(老健)全額
介護医療院全額
指定介護療養型医療施設全額

対象になるのは、いずれも介護費・食費・居住費の自己負担額です。

特養だけ2分の1。これは知らないと、多く申告することにも、少なく申告することにもなります。

おむつ代は、証明書がいる

おむつ代も対象になり得ますが、医師等が発行する「おむつ使用証明書」がある場合に限られます。

主治医に「医療費控除に使うので、おむつ使用証明書をお願いします」と伝えるのが頼み方です。受診のついでに頼めます。

なお、特別養護老人ホームのおむつ代は介護費に含まれるため、施設サービスの扱い(自己負担額の2分の1)に入ります。

領収書は、そのために作られている

介護保険サービスの領収書には、医療費控除の対象になる金額が記載されていることが多くあります。

事業所は、その区分が分かるように出しています。自分で計算し直す前に、まず領収書を見てください。

分からなければ、発行した事業所に聞くのが早いです。「医療費控除の対象額はどこですか」で通じます。

毎年やることなので、仕組みにする

医療費控除は毎年です。1年分をあとからまとめるのがいちばん大変な部分になります。

  • 領収書はその月のうちにまとめて1か所へ
  • 通院の交通費は、その日のうちにメモしておく(あとから思い出せません)
  • おむつ使用証明書は、年をまたぐ前にもらっておく

探すところから始めないだけで、申告の負担はかなり変わります。

この記事で扱っていないこと

自分の場合にいくら控除されるか、申告すべきかどうかは書いていません。所得や他の医療費との合計で変わります。

判断は税務署か税理士にご確認ください。 国税庁のページ(下記)に区分の一覧があるので、領収書を手元に置いて突き合わせるのが確実です。


CareQuest は、その日のことを短く残すための記録アプリです。費用の計算や申告をするものではありませんが、通院した日や交通費のようにあとから思い出せないものをその日のうちに残しておけば、まとめるときの手がかりになります。無料・登録なしで開けます。

公開中の CareQuest について

ご注意: 医療費控除の対象・金額・申告方法は、利用しているサービスの組み合わせやご家庭の状況によって異なります。また制度は改正されます。実際の申告については、お住まいの地域の税務署または税理士にご確認ください。


参考: 国税庁 No.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価No.1125 医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価寝たきりの者のおむつ代

よくある質問

介護にかかったお金は全部、医療費控除の対象になりますか?

いいえ。どのサービスかで分かれます。訪問看護・訪問リハビリ・居宅療養管理指導・通所リハビリ(デイケア)・短期入所療養介護は、それだけで対象になります。

デイサービスは医療費控除の対象になりますか?

訪問看護やデイケアなどの医療系サービスと併せて使っている場合に対象になります。単独で使っている場合は対象になりません。サービスの中身ではなく、組み合わせで扱いが変わる仕組みです。

施設に入っている場合はどうなりますか?

特別養護老人ホームは自己負担額の2分の1、介護老人保健施設(老健)・介護医療院は全額が対象です。いずれも介護費・食費・居住費の自己負担額が対象になります。特養だけ2分の1である点にご注意ください。

今日も、読んでくださってありがとうございます。