「訪問診療」と「往診」のちがい — 定期的に来てもらうのと、呼ぶのは別のもの

訪問診療は計画に基づいて定期的に来てもらう医療、往診は求めに応じて臨時に来てもらう医療です。どちらか一方を選ぶものではありません。在宅療養支援診療所から書面で受け取れるもの、相談のときに聞くことを整理しました。

自宅で医療を受ける話になると、「訪問診療」と「往診」が両方出てきます。

同じ意味で使われることも多いのですが、制度の上では別のものです。ここを分けて理解しておくと、相談のときに聞くことがはっきりします。

分け目は「予定されているかどうか」

訪問診療往診
きっかけ計画に基づいて求めに応じて
タイミング定期的臨時
誰が決めるか同意のうえで計画本人・家族が呼ぶ

訪問診療は、本人の同意を得たうえで、計画的な医学管理のもとに定期的に訪問する形です。月に何回、といった予定が立ちます。

往診は、本人や家族が医療機関に直接求め、医師が必要と認めて、可及的速やかに赴いて診療するものです。

制度の側でも、この2つははっきり分けられています。定期的・計画的に赴く場合は、往診としては扱われません。

どちらかを選ぶ話ではない

分かれているので選択肢のように見えますが、実際には両方を使います。

普段は訪問診療で定期的に診てもらう。そのあいだに具合が変わったら、往診を頼む。 これが在宅医療の基本の形です。

だから相談のときの聞き方は、「訪問診療と往診のどちらにしますか」ではありません。

「定期の訪問と、急なときの対応は、どうなりますか」

この2つをセットで聞きます。

書面でもらえるものがある

在宅療養支援診療所という届出をしている医療機関には、24時間の往診体制を整えることが求められています。

そして、担当する医師の名前と予定を、書面で患者に示すことになっています。

つまり、「夜中に誰が出るのか」は、口約束ではなく紙で確認できるということです。

受け取っていなければ、聞いていい話です。

「夜間・休日の担当の先生について、書面をいただけますか」

相談のときに聞くこと

在宅医療を組む段階で、押さえておくと後が楽なもの。

  • 定期の訪問は月に何回か
  • 急なときの連絡先は、日中と夜間で違うか
  • どこまで自宅で対応し、どこから入院になるか
  • 通っている専門の病院とは、どう分担するか
  • 訪問看護と、どう連携するか

最後の2つは、聞いておかないと宙に浮きやすい部分です。在宅の医師と、これまでの主治医と、訪問看護。誰が何を担当するかが決まっていれば、迷う場面が減ります。

距離の条件がある

在宅医療には距離の要件があり、医療機関から一定の範囲内であることが前提になります。

「近所の先生に頼みたい」が通るとは限らず、逆に「その地域に対応している在宅医がいるか」が先に来るということです。

心当たりがなければ、ケアマネジャーか地域包括支援センターに聞くのが早いです。地域で実際に動いている在宅医を知っています。

パーキンソン病の場合

専門の医師にかかりながら、在宅医療も使う——という組み合わせになることがあります。

処方をどちらが出すかは、決めておかないと重複や抜けが起きます。相談のときに、薬の管理をどちらが持つかを確認しておくと安全です。

この記事で扱っていないこと

在宅医療に切り替えるべきかどうかどの医療機関が適しているかは書いていません。病状と地域の体制によって変わります。

ここで整理したのは、その相談に入る前に、言葉の分かれ目を知っておくことです。訪問診療と往診が別物だと分かっていれば、「急なときはどうなりますか」を聞き落とさずに済みます。


CareQuest は、その日のことを短く残すための記録アプリです。医療の判断をするものではありませんが、定期の訪問までのあいだに気づいたこと——いつ、どんなふうに——を短く残しておけば、次の訪問でそのまま伝えられます。無料・登録なしで開けます。

公開中の CareQuest について


参考: 厚生労働省 在宅医療(診療報酬点数表 第2部)訪問診療・往診等における距離要件について(中医協)

ご注意: 制度の内容や要件は改定により変わります。在宅医療の体制・費用・対応できる範囲は、医療機関、担当のケアマネジャー、お住まいの市区町村でご確認ください。

よくある質問

訪問診療と往診はどうちがいますか?

分け目は「予定されているかどうか」です。訪問診療は本人の同意を得たうえで計画的な医学管理のもとに定期的に訪問するもの、往診は本人や家族が求め、医師が必要と認めて臨時に赴くものです。定期的・計画的に赴く場合は往診としては扱われません。

どちらかを選ぶのですか?

いいえ、実際には両方を使います。普段は訪問診療で定期的に診てもらい、そのあいだに具合が変わったら往診を頼む。これが在宅医療の基本の形です。相談では「定期の訪問と、急なときの対応はどうなりますか」とセットで聞きます。

夜間に誰が対応するかは確認できますか?

在宅療養支援診療所の届出をしている医療機関には24時間の往診体制が求められ、担当する医師の名前と予定を書面で患者に示すことになっています。受け取っていなければ、書面をお願いしてよい話です。

今日も、読んでくださってありがとうございます。