「おかえりなさい」と、また行こうと思えること

持ち物アプリでいちばん時間をかけたのは、実は帰ってきたあとの画面でした。帰宅を「終わり」にせず、日記と写真で「また行こう」にゆるくつなぐ——おかえり画面の設計の話です。

持ち物アプリを作っていて、いちばん時間をかけたのは、実は帰ってきたあとの画面でした。

準備の画面は、明るいキャンディ色にしました。行ってらっしゃいの、前向きな時間だから。けれど帰宅の画面まで同じ調子だと、なんだか落ち着かない。帰ってきたときにほしいのは、にぎやかさより、ほっとする感じです。

そこで、おかえりの画面だけ、背景をおうちのあたたかい色に切り替えるようにしました。いちばん上に「🏠 おかえりなさい」。忘れ物チェックは前に出さず、まずは一息つける並びに。色と言葉で、「帰ってきた安心」を作れないか、という試みです。

「終わり」で終わらせない

もうひとつ考えたのは、帰宅を「終わり」にしないことでした。

介護の外出は、一度きりではありません。ショートステイも、通院も、また来る。だとしたら、帰ってきた瞬間が「はい、おしまい」で閉じるより、「またいっしょに準備しましょう」で次にゆるくつながっていたほうがいい。

それで、おかえりの画面に「🏠 ただいま!」というボタンを置きました。押すと、その日のことがおでかけ日記に一件、記録されます。日付、行き先、きょうの調子(顔のマーク)、ひとこと、そして写真を一枚。「◯回目のおでかけ、おつかれさまでした」と出て、回数が積み上がっていく。

記録が、続ける理由になる

正直に言うと、荷物を詰める作業そのものは、楽しいものではありません。だから「毎日開きたくなるアプリ」にはなりにくい。無理に毎日通知を送れば、うっとうしくなって離れていくだけです。

続けてもらえる理由があるとしたら、それは振り返る楽しさのほうだと思っています。調子の記録が折れ線でたまっていく。写真がアルバムになる。「前回はごきげんだったな」と思い出せる。帰宅が「記録が一枚増える瞬間」になれば、次のおでかけも、少しだけ待ち遠しくなるかもしれない。

つらいことの多い時間の中に、「また行こう」と思える小さな理由を、道具の側からそっと置いておく。おかえりの画面は、そのために作りました。

——おかえりなさい。きょうもおつかれさまでした。また、いっしょに準備しましょう。

私たちが作っている CareReady は、行く前だけでなく「持って帰ってきたか」も確認できるようにしています。家族向けの持ち物チェックはすでに公開中です。

公開中の CareReady について

CareReady は介護の持ち物準備を支える生活支援ツールであり、医療機器ではありません。持ち物や薬の準備は、利用先の施設の案内と医師・薬剤師の指示を優先してください。

今日も、読んでくださってありがとうございます。