「持ち物の準備」を「おでかけの準備」と呼ぶことにした

ショートステイや入院の持ち物をそろえる時間は、たいてい気が重い。呼び方をひとつ変えるだけで、同じ作業の気持ちが少し軽くなる——CareReadyで言葉を変えた話です。

CareReadyは、ショートステイや入院、施設への持ち物をそろえるためのアプリです。要は「持ち物チェックリスト」。作っている途中で、ずっと引っかかっていたことがありました。

この作業は、たいてい気が重い。

数日分の着替えをたたみながら、頭の片隅では「また離れるのか」と思っている。荷物を詰める手は、送り出す準備でもあるからです。チェックリストという道具は、その気持ちには何もしてくれません。むしろ「28項目中23」みたいな表示は、できていないことを数えてくる。

そこで、言葉を変えました。「持ち物の準備」ではなく、「おでかけの準備」

たかが言葉、されど言葉

行き先を選ぶ画面は「きょうは どこへ おでかけ?」。全部そろえて「準備できた!」を押すと、風船と紙吹雪で「いってらっしゃい」。帰ってきたら「おかえりなさい」。

介護施設に行くことを「おでかけ」と呼ぶのは、きれいごとに聞こえるかもしれません。実際、迷いました。ただ、使ってくれる人に見せたとき、いちばん反応が返ってきたのはここでした。「送り出す」んじゃなくて「いってらっしゃい」。同じことをしているのに、少しだけ肩の力が抜ける。

言葉は、事実を変えません。離れる寂しさも、準備の面倒も消えない。でも、同じ作業をどんな気持ちでやるかは、言葉が少し動かせる。そこは道具の仕事だと思いました。

やりすぎないこと

一方で、注意もしています。あまり「かわいく」「いっしょにがんばろうね」と寄せすぎると、自立した大人の介護者を子ども扱いすることになる。尊厳を守るのが最優先。あたたかいけれど対等、というのが上限です。励ましの言葉は、送り出しや帰宅といった「感情の瞬間」だけに置き、ふだんの操作は簡潔にする。そのさじ加減を、いまも直しながら作っています。

介護の道具は、効率だけでは足りません。効率の隣に、ほんの少しの「いってらっしゃい」がある。それだけで、続けやすさが変わる気がしています。

——「持ち物を詰める」を、「ワクワクを詰めて、いってらっしゃい」に。呼び方ひとつから始めました。

今日も、読んでくださってありがとうございます。