「今日、排便あった?」を、家族の記憶の仕事にしない
排便や服薬の確認は、気づかないうちに家族の記憶を占領します。パーキンソン病の在宅介護から生まれた GutPacer が、記録で何を軽くしようとしているかの話。
在宅介護をしていると、「今日は排便があったか」「薬はいつ飲んだか」を確認する場面が何度もあります。
その場では覚えていても、数日たつと曖昧になります。受診の日に「最近どうでしたか」と聞かれても、忙しい毎日の中で正確に答えるのは簡単ではありません。
この小さな確認の積み重ねを、家族の記憶だけに任せなくてもよい方法はないか。そう考えて作り始めたのが、排便ケアを担う人のための記録アプリ「GutPacer」です。
排便のことは、あとから思い出しにくい
介護の記録というと、体温や食事、睡眠などを思い浮かべるかもしれません。排便も大切な記録の一つですが、毎日ノートに書くとなると続ける負担があります。
特に排便は、「あった・なかった」だけでなく、量や状態、浣腸や手助けの有無など、あとから確認したい情報があります。一方で、記録項目を増やしすぎると、入力そのものが続きません。GutPacer では、毎日の介護の流れを止めないことを優先して、必要な項目をできるだけ少ない操作で入力できる形を目指しています。
何をどこまで書くか迷ったら、排便記録は何を書けばいい? も参考にしてください。最初は「あった・なかった」だけで十分です。
排便ケアを、30秒の記録にする
GutPacer で記録できるようにしているのは、次のような情報です。入力は30秒程度を目安にしています。
- 排便の有無、量、便の状態
- 浣腸や手助けの有無
- 服薬の状況
- その日のメモ
- 自宅にいるか、施設にいるか
記録した内容は履歴で見返せて、受診や家族間の共有が必要なときには、一定期間の記録を PDF にまとめることもできるようにしています。
大切なのは、アプリが何かを診断することではありません。毎日の事実を残して、必要なときに本人や家族、医療者へ伝えやすくすることです。
記録を忘れた日のための、そっとした通知
介護中は、記録を入力すること自体を忘れてしまう日があります。GutPacer では、排便の記録がない日が続いたときに、介護者へ LINE で知らせる仕組みを用意しています。
通知は、何かを自動で判断して指示するものではありません。「記録を見直す時間です」と気づくためのきっかけです。施設に滞在している期間は通知を止められるようにしています。実際の介護の流れに合わない通知は、少ないほうが使い続けやすいからです。
パーキンソン病の在宅介護から始めた
GutPacer は、パーキンソン病のある家族を在宅で介護する経験から始まりました。だから最初の記録項目には、排便の量や状態だけでなく、下剤や浣腸、手助けの有無も入っています。排便ケアの中で実際に「あとから確認したい」と感じたものを、最初の形にしました。
パーキンソン病に限らず、排便ケアを担う家族には、似たような「覚えておく仕事」があります。ひとつの介護現場から始めて、そこにある負担を、ほかの家庭にも使える道具にしていく——それが GutPacer の進め方です。
「毎日完璧に」ではなく、続けられることから
介護の記録は、毎日すべて埋められなくても構いません。大切なのは、あとから振り返るときに役立つ事実を、無理のない範囲で残しておくことです。
GutPacer は現在開発中で、家族ごとの記録の分離など、安心して使ってもらうための仕組みを整えているところです。進み具合はプロダクトページでお知らせしていきます。
そして今日から何かひとつ始めるなら、CareQuest(無料・登録不要)に「排便の確認ができた」と一行残すことからでも十分です。確認できたことも、今日の立派なひとつです。
GutPacer は排便ケアの記録・共有ツールであり、医療機器ではありません。気になる変化や服薬のことは、主治医や医療・介護の専門職にご相談ください。

今日も、読んでくださってありがとうございます。